”受注拡大”は誰がシアワセになるのだろう?

とあるメーカーのプロジェクトで急遽、応援の追加要員が必要になった。まぁ、この業界でこういう「急に追加要員が必要になる」場面っていうのはもう言わずもがなの状態である。

そのメーカーにはうちの会社も併せて大小たくさんのソフト会社がぶら下がっているけど、うちの会社がまっさきに手を挙げて人を投入した。うちの会社も人が余っていたわけでは無く、プロパー数人とあとはたくさんの協力会社さんによるチームを急いで編成して突っ込んだ。

こうやって無理してでも人を揃えて投入できる会社はメーカーにウケが良いらしい。うちの会社も「今後の受注拡大を見込んで、あえてこの状態でメンバーを投入した」と言っていた。大元のプロジェクトは規模は大きい*1が、

  • 仕様決定の遅れ
  • 仕様変更の頻発
  • 開発環境の問題(ソースが巨大なのでコンパイル時間などが長すぎる)
  • 機能が膨大でかつ多数の外注会社に分散しているのでそのコミュニケーションでのロス
  • 外注会社や機能を担当するチームによってスキルレベルがバラバラで、特定の機能の品質が悪かったりして、そこを利用する他の機能チームの足を引っ張る

ような状態で、常に現場の稼働が高くなりがちで深夜残業や休日出勤はほぼ当たり前だ。

私個人としては、これ以上このプロジェクトに会社として首を突っ込んでも現場は幸せになれないだろうと思っている。単純に、この過酷さに巻き込まれる不幸なメンバーが増えるだけだからだ。

でも会社としては上に書いたように”受注拡大”をしたいのだ。まだまだこのプロジェクトに人を投入して売り上げを拡大したいという…。

うちの会社は積極的な拡大志向。「拡大無くして安定無し」というトップの持論があるらしい。しかし、その組織の末端で働いていると思う。「拡大して何が良くなるのか?」と。

IT業界では良くも悪くも元請け下請けのピラミッド構造だから、規模を大きくしてプライムコンストラクタ(一次請け)になれれば有利な条件で仕事が受注できるというのはあるだろう。

ただ、社員からしてみれば現場メンバの急増や組織の細分化で社員同士のコミュニケーションは希薄になっていったし、会社全体の仕事の質は下がったんじゃないかと思う。

新卒や未経験者採用もかなり積極的にやっていたので、本当にスキル(技術に限らずマネジメントとかも)のある人は社員全体のどれくらいの割合いたのか?案件はたくさん取れて売り上げは上がったかもしれないが、その分トラブルも増えたんじゃないか?増収減益という結果にはそういう要因も含まれているんじゃないかな…。

拡大路線が株価対策だとも思えない*2し、大企業病に犯され始めている現状を見ると「大きくなると誰が幸せになるのか」と考えてしまう。

  • *1: だからいろんなソフト会社が食いついてるのだけど
  • *2: もともと浮動株が少なめだし、ここ数年の規模拡大や増収の割合に対して株価が反応してないと思う

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