http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20051205/225703/
すごく変なところに反応するけど…。
「SEの設計スキルが低下したのは“空白の10年間”のせいですよ」---。先日,大手ITベンダーの幹部に取材したところ,こう切り出された。
その幹部によれば,この10年間,大規模な基幹系システムの開発がめっきり減り,その代わりに保守開発や中小規模のWebシステム開発が増えた。そのために,「特に若手のSEが設計にかかわる機会が減少し,設計スキルの低下が目立つようになった」(同氏)と言うのだ。
大手ベンダーらしい考えですな。
保守開発とか小さい案件だって取らないとやっていけない会社やエンジニアはいるわけで。「大きい案件バンザイ」みたいなのはねぇ。まぁ昔も今もそういう案件に関わっている人間は業界の中でもまだ花形のように見られているフシがあるってことかな。前も「億以下の案件はゴミみたいなものだ」なんて「大手ベンダ」の人が書いてあるのを見かけてちょっとムカッと来たことあるけどさ。
…まぁ地方のしがないエンジニアのひがみは置いといて。
記事自体の言いたいことはわかる。本当にきちんと基本設計をしないと駄目な案件が少なくなっているから、ベテランのSEから若手へのスキルトランスファとか若手SEの経験を積む機会が減っていることが一因ってことだよね。
たしかに一昔前に大規模システムを経験したベテランSEの持っているノウハウがそのまま応用できない部分が増えて、じくじたる思いをしている人もいるんだろうけど。
でも、それってここ最近の案件の質が変化してきたってことじゃないかな。保守開発や中小規模のWeb案件の中できちんと要件定義から設計、製造、テスト、カットオーバー後の保守までのノウハウを新しく蓄積しないといけない時期なんだと思う。今からまったくの新規で大規模なシステムの構築があまり見込めないのなら、そういう時代に対応した生き抜き方ってあるよね…。
もっとも,基本設計そのものが難しくなっているという面もある。例えば,あいまいな要件定義書が増えており,その結果,基本設計の入力情報が不明確になってしまう。
さらに言えば,多様化・高度化した技術や製品を活用して高品質なアーキテクチャを組み上げるのにも高度な専門スキルが必要となる。そこでは高い性能や信頼性,セキュリティといった非機能要件も考慮しなければならない。
そう、空白の10年の間に求められるものが大きく変わっているんですよ。昔は「大規模基幹系を経験したエンジニア」というくくりで他の基幹系システムにも応用が利いてよかったかもしれないけど、今は「セキュリティ」「ネットワーク」「データベース」「Web系」なんて具合に専門化したエンジニアが集まらないととても基本設計なんてできなくなっていると思う。
ホストとダム端末(古すぎ?)と、Web上のイントラネット、外部向けWebシステムじゃ求められるものがけっこう違うんじゃ?もちろん普遍的なのもあるだろうけど。だから、
「SEの設計スキルが低下したのは“空白の10年間”のせいですよ」---。先日,大手ITベンダーの幹部に取材したところ,こう切り出された。
と言われても、昔と今とを同列には比べられないでしょう。「昔は○○だったから良かった。今は…」みたいな論調って意外と昔の考えにこだわってしまっている人が言ってしまいがちではないかな。
今は今のシステム構築のニーズに合わせてノウハウを蓄積して、それに対応したエンジニアを育てられるようにする。もちろん昔のノウハウが使えればそれも取り入れるし、ベテランも昔に拘らずに今に応用が利くものはどんどんと若手に伝えるようにしてみればいいのでは。若手は技術だけじゃなくてそういうベテランの経験も「古くさい」と思わずに良いものは真摯に聞いて試してみる。それに尽きるんじゃないだろうか。
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