ITエンジニアの「心の病」

読了。

精神科のお医者さんが執筆しているためか、雑誌の特集とかにありがちな、ことさら恐怖を煽ったりすることも無く淡々と書かれているのは好感が持てる内容。

IT業界の状況と、エンジニアが追い込まれやすい状態をきちんと分析しているあたりは、ちゃんとIT業界を理解した上で書かれているなぁと感心。

…というか、ここまできっちりと分析されてしまうとIT業界って随分ひどいところみたいだなと思うけど、悲しいかなこれが現実にある。こういう心の病にかかってしまう人は少なくないし、予備軍も含めればもっと多い。

開発期間の短縮、間違った成果主義、下請けいじめなど、IT業界の暗部がエンジニアを潰していくことが多い。会社によっては「エンジニアは取り替えがきく」と思っているのか平気で社員を潰すほどのプレッシャーをかけるところもあるらしいし、上司や同僚が鈍感で本人の異変に気づかない、気づいても「そんなの大丈夫だ、気にするな」と深刻に受け止めないこともあるだろう。

基本的には自分を守れるのは自分しかしないと思ったほうがいい。そのためにも、少しでも自分の調子の悪さに気づいたら、この本の症例と比べてみよう。そして場合によってはお医者さんに行こう。

この本は悩んでいる本人だけでなく、その周りの人も読むべき。もしかすると自分にも心の病が起こるかも知れないというのもあるけど、あらかじめ症状を知っておくことで会社の同僚とかの異変に気づいて、早いうちに手が打てるかもしれないから。同僚が病んでいく姿は誰だって見たくないですよね?

ITエンジニアの「心の病」―技術者がとりつかれやすい30の疾患
4839917116 酒井 和夫 立川 秀樹

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