ふだん何気なく買い物をしているセブンイレブン。
レジを売っているパート、アルバイトの店員も「仮説・検証」のプロセスで発注精度を上げることに取り組んでいるという。
また常に新しいモノを提供しないと飽きられるという商売の現場で、いかに「顧客の立場で」次の手を打つかという点で「顧客心理の追求」を経営に持ち込んだ、会長の鈴木敏文氏の考え方について詳細に記されている。
やはりセブンイレブンの強さはOFC(本部の店舗担当)とオーナー、店員による「仮説・検証」の繰り返しにあるのだろう。その仮設を立てる場合も「顧客の立場で」考える(従業員は顧客でもある)ことを徹底する。
本文中には「どうしてなのか」を徹底的に追求して問題の本質を見抜くなど、トヨタ方式の「5回の”なぜ”」と共通する部分も。
濃い内容にもかかわらず読みやすく書かれており、とりあえず一度流して読み、その後再読するくらいが良いかも知れない。物販以外の仕事でも参考になるところは十分にあると思う。
細かい話だけれど、コンビニで「店の奥にも買い物カゴを置いている」のはセブンイレブンくらい(ファミリーマートもだったかな?)だと思う。
普通は入り口だけに置いていることが多くて、カゴを持たずに入って奥に進むにつれてあれもこれも、と手に取った頃にはもう持てない!なんてことが良くある。そういうときに店の奥にカゴがあるのと無いのとでちょっとした気配りを感じるんですよね。
そういうちょっとしたことも「仮説・検証」の中から生まれてきたのかもしれない、と思いを巡らすとコンビニでの買い物が楽しくなるかも知れませんね。
気になるのは、このカリスマ的経営者の鈴木氏が将来いなくなった時。
果たしてセブンイレブンは後継の経営トップとともに今のプロセスをきちんと回していけるのか?鈴木氏の才能によって支えられている部分が大きいように思えるので、それが無くなったときにセブンイレブン、イトーヨーカ堂という組織はどう進んでいくのだろうというのは興味を引くところ。
これは比較的力の強いオーナー経営者がいる会社には言える話で、実をいうと私の勤務先もオーナー社長が築き上げてきた企業なので、仮に社長が完全に経営から手を引いたら誰がどんな指揮を執るのだろう?ということをたまに想像したり…。
鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く!」-セブンーイレブン流「脱常識の仕事術」 | |
勝見 明
プレジデント社 2005-01-21 |
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