書店で目にとまったので、与謝野馨の「堂々たる政治」を読んでみた。
TVなどで政策通と言われていたのと、語り口が比較的穏やかイメージしか無かったのだが、こうやってその人となりと政治のバックボーンとなっている事柄、半生を読むと色んなことが分かってくる。
それは、麻生太郎の本を読んだときと同じ印象だ。
政治的な信念が国民に受け入れられるものかは別として、政治家がこうやって本を書くと、ふだんメディアだけ見てると見えない部分を知ることができる。なぜこの人はこんな政策を提唱しているのかという「なぜ」の部分がじっくり見えるからだ。
郵政も、消費税も、ネットやメディアは脊髄反射的な取り上げ方ばかりで、いつも物事の本質を見失ったまま国民も何となく流されてしまう。TVの討論番組も、お互いを罵り合うだけできちんと賛成・反対の立場から整然と説明できていない。
こういうとき、活字という媒体で一人一人が落ち着いて理解しながら読めるという形は必要なのではないだろうか。
賛成、反対の両方の言い分を、読み手が自分のペースで理解しつつ読む。当然書く側の政治家にも理路整然とした説明が求められる。それを読んだ上で、読み手の国民は自分の意見を固めればいいのではないか。
おそらく今までは、演説会に行ったりということだったんだろうけども、フラッと行くのには無党派層と言われる普通の人には抵抗がある。そういうときに書籍や活字なら気軽だ。
与謝野馨氏について言えば、「悪い人」ではないだろうと感じた。まったくの旧態依然という感じではないし、本人が書いているように「言いにくいことをあえて言う」内容だった。
「割り勘」論も、確かにそういう面もあると気づかされるし、「国と国民は一体」という点は今の国民に抜け落ちがちな点として、良い指摘だと思う。ただ、税金の無駄遣いが数百億円規模しかない、という点は疑問だったが。あくまで会計検査院の指摘分であり、天下り団体に流れたりしたお金は入っていないだろう。
政治家はもっと本を書くべきだ。それも政党の政策に縛られず、個人の考えを存分に。
政党が出すマニフェストなんて選挙狙いの美辞麗句が並んでいるだけでアテになるものではない。政治家一人一人の本音の考えをもっと聞いてみたい。そういう意味で新書という形はちょうど良い形態なのかとも思う。
とてつもない日本 (新潮新書 217) | |
麻生 太郎
新潮社 2007-06-06 おすすめ平均 |
堂々たる政治 (新潮新書 257) | |
与謝野 馨
新潮社 2008-04 おすすめ平均 |
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