どうも私は仕事の資料などを読んでいてもすぐに「わかったつもり」になってしまうようで、レビューの席でも適切な質問や指摘が読んですぐにできないタイプだ。
これってけっこう致命的なのかな、と自分のなかで問題視しているのだけれど、打合せのその場で適切な質問ができなかったりした場合、後でメールや電話で質問するなんていうコミュニケーションロスが生まれてしまったり、後々の工程まで気づかない矛盾点とかが出てくる。
だから、資料をさっと目を通しただけですぐに疑問点とかを言える人が羨ましかったりするわけです。まぁ単に私の能力が低いだけかもしれないけれど。
…そういう悩みを抱えている中で一番最近買った本。
文章を読んで「わかったつもり」に陥ってしまうのは文章を読んだときに自分の知識から「スキーマ」と呼ばれる知識の枠組みを勝手に当てはめてしまい、その枠に囚われた文の解釈をしてしまうかららしい。要するに「思いこみが強い」ということか。
文章中の細かい矛盾点や焦点が不明確な部分でも、自分のなかでストーリーを作ってそれを無意識のうちに整合性があるように理解してしまうと。
けっきょくこの「わかったつもり」から「もっと深くわかる」にはどうすればよいかというと、自分が本当にこの文章を解っているのか問いかける、認知心理学で言う「メタ認知」をすることだそうだ。そうすることで、思いこみをしたままにならないように意識づけるということらしい。
本の内容はというと、読むときに間違った理解をしやすい文脈の文章を読ませ、実際に読者を罠にはめてから陥りやすいポイントを解説するという形式が内容のかなりの部分を占める。たしかに目から鱗のところはあるが、事例の部分が多すぎて多少くどいかなという感じはある。
また「わかったつもり」から脱出するための解説は最後のほうの章でボリュームも少なめに触れられているので、手っ取り早くHow toが欲しい人には物足りない本かもしれない。どちらかというと事例から自分の陥りやすいパターンをきちんと認識して、そこから自分の読み方を軌道修正できるくらいの人には適しているかもしれない。
わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 | |
西林 克彦
光文社 2005-09-20 おすすめ平均 |
コメント