獄中記 (岩波現代文庫) | |
佐藤 優
岩波書店 2009-04-16 |
なんというか...。
通読したものの、全体の3分の1も消化できていない。
なぜか。
- 神学
- 哲学
- ロシア政治
- 諜報(インテリジェンス)
- 外交(ロシア外交)
- 裁判
- 拘置所生活
が本文で混ざり合っているから。
神学、哲学、ロシア政治に関する内容がかなりの部分を占めているので、この辺の知識が無いと正直なところ分かったふりをして読んでいくしか無い。ただ、この神学・哲学が筆者の行動・思考のベースになっているのはよく分かる。
筆者は拘置中、神学研究にほとんどの時間を費やしていたので、獄中でのメモや弁護団・友人への手紙がこのような内容になるわけだけれども...。
それを除けば、外交、裁判、拘置所生活のあたりは一般の人でも比較的読みやすいだろう。一部、「国家の罠」とかぶっているところもあるけれど。
さて、読んでいて筆者に対する疑問というか不思議に思うところ。
- 鈴木宗男に対する頑なな忠誠心
- 検察、外務省に対する恨みの無さ
- 物事に対する第三者的視点
この点が、普通の人が思うレベルを超えて徹底しているし、達観している。
答えの一つとしては、筆者がクリスチャンであり「仲間に対する愛」「汝の敵を愛せよ」という思想があるから、ということになるのだろうが...。
いずれの著作にしても、内容が理路整然としている点、前提情報、周辺情報もきちんと補っている点でとても読み応えはある。
著者の政治的、精神的なスタンスを除いたとしても、論理的思考やそれを文章に起こすこと、そして文献の読み方や勉強法など、どのように知的生産活動をしているかについてだけでも読んでみる価値はあると思う。
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