今年の残業可能時間がだんだんと少なくなってきている。
労働基準法の「36協定」で決まっている年間の残業限度時間の残りが、11月~3月までの5ヶ月で割ると1ヶ月あたり平均して40時間の残業分しか残ってない。
1ヶ月40時間「も」ではなく40時間「しか」、と言ってしまう感覚自体がどうかという気もするけど、数年にわたってこんなことをやっていると感覚が麻痺してくる。
季節ごとに複数機種を出す携帯電話の開発なんかは、すでに月~金曜の週休2日のペースでは開発スケジュールが最初から破綻するほど短納期&開発ボリュームの多さになっている。メーカーから「恒常的な土日の出勤体制を検討ください」と要請が来るほどだ。平日でも朝から終電近くまで作業しているのにもかかわらず。
中には、スキル不足ゆえの非効率な作業で自分の首を絞めている部分もあったりするのだけど、だいたいは
・数機種の平行開発スケジュール
・最後まで固まらない仕様
・鶴の一声で仕様がコロコロ変わる
・連携相手のモジュールから設計・検討不足のI/Fが出てきて修正依頼などで時間を費やす
・パッケージとして導入したエンジンの品質が悪い&ブラックボックスのため解析が進まない
・こまめに入ってくる各種中間リリースのマイルストーンにねじ込むための無理な実装
・設計や検証より実装優先を求められ、あとからバグ多発で苦しむ
・技術者の数に対して開発機材の不足で開発やデバッグがままならない
という場合がほとんど。
特定の開発現場に限らずソフトウェア開発の現場ではありがちなことも多いだろうが、国内の携帯電話やデジタル家電系の現場は特にこの傾向が顕著なのではなかろうか。
こんな生活してても誰も幸せにはならない。何機種出荷しようが次々と開発スケジュールは連なっているし、プロジェクトの谷が無いから本当に仕事漬け。ここまでやって開発しても海外メーカー製と比較されて「発売タイミングが遅い」「UIが野暮ったい」とか「余計な機能載せすぎ」とか言われたりするので下請けと言えども辛いところ。
こういう人海戦術的な大規模開発のやり方は、そう簡単に流れは変わらないので今後も続いていくのだろう。もっと期間が短くなり、開発規模が増え、ただし開発予算は削られるスパイラルを描きながら。本当にプロジェクトを破綻させないためにたくさんの技術者が常に昼も夜も無く働くようになり(その分のコストも回収できるかどうか…)、体や心を壊す人が増え…。おそらく下請けは次の仕事をもらうために今以上に無理難題をこなすようになるのだろう。
コメント
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